クロストークを読む
自分の手で動かしていく。
3代続く土木家系に生まれ、今は同じ会社で、同じ現場に立つこともあるWさん親子。
親子であり、仕事仲間でもある2人に、話を聞きました。
プロフィール紹介
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土木部
現場作業員H.W
業界27年、讃建では13年目のベテラン現場作業員。重機オペレーター、型枠、石工、ダンプまで、現場のことなら何でもこなす。現場監督の経験もあり、息子に現場目線でアドバイスを送る父。
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土木部
現場監督T.W
入社5年目の若手現場監督。父・Hさんの紹介で讃建へ。土木を学べる高校を卒業し、現在は1級土木施工管理技士の取得を目指している。父の仕事を見て育った、土木家系の3代目。

CHAPTER 01
「うちの会社、どう?」
から始まった。
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H.W
あれは、ちょうど会社で「若い子が少ないな、誰かおらんか」って話が出とったときやったね。
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T.W
それで頭に浮かんだのが、僕だったと。
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H.W
ちょうど高校3年で、土木を学ぶ学校に行っとったし、進路もまだ決まり切っとらん時期やったから。「Wさんの息子さん、どう?」って声が上がって。
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T.W
覚えてる、覚えてる。家でお父さんから「うちの会社で一緒にやることになるかもしれんけど、どう思う?」って聞かれて。僕も「別にいいよ」って、それくらい軽く返した気がする。
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H.W
結構あっさり聞いたつもりやったけど、答えも軽かったな(笑)。あんなにすぐ「いいよ」って言われると思わんかった。
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T.W
(笑)でも、ちょうど進路を考えてた時期で、自分の中でもいろいろ迷っていたんだよね。土木の専門高校に通っていたので、その方向で就職することは選択肢としてありました。ただ、具体的にどの会社に行くかまでは決めきれていなくて。だから、お父さんから話が来たときに「ああ、これかも」って、すんなり入ってきた感じだったんだよね。
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H.W
そこから企業見学にも行ったんよな、ちゃんと。
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T.W
行きました。やっぱり、自分の目で会社を見ておきたかったので。実際に行ってみたら、讃建の社員さんたちの雰囲気がすごく良くて。働いている人たちが自然に接してくれて、ここなら自分もやっていけそうだなと思いました。
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H.W
雰囲気は、うちの会社の良いところやで。
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T.W
あと、高校生から急に社会人になるのって、やっぱり不安があったんです。何も分からない世界に、一人で飛び込んでいく感じがして。
そういうときに、身近な父親が同じ会社にいるって、気持ちの面ではかなり安心だったんですよ。「何かあったら、お父さんに聞ける」って思えたことも、決め手の一つでした。 -

H.W
それは初めて聞いたな、その話。
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T.W
言ってなかったかな(笑)。面と向かって言うの、ちょっと恥ずかしいから。
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H.W
今、面と向かって言っとるけどな(笑)。

CHAPTER 02
小さい頃から、
現場が遊び場だった。
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T.W
そもそも僕、小さい頃から現場をよく見ていたんですよ。
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H.W
そうやったな。休みの日に、僕とおじいちゃんが手伝いで現場に出とったときに、お母さんが連れてきとったよな。
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T.W
そう。父方のじいちゃんと、母方のじいちゃんが、二人とも自営業で似たような仕事をしていて。それぞれの現場に、お母さんと一緒にジュースを届けに行くんです。
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H.W
両方の家が土木関係やもんね。
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T.W
だから、小さい頃からそういう景色を見て育ちました。重機が動いているところとか、土を掘っているところとか、何かを組んでいるところとかを、小学生のときからずっと眺めていました。普通の子はあまり見ない景色だと思うんですけど、僕にとってはそれが当たり前で。
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H.W
見せようと思って見せとったわけじゃないけど、自然とそうなっとったな。
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T.W
おかげで、ほかの仕事があまり想像できなかったんですよね。サラリーマンってどんな感じなのか、毎日同じオフィスに通うってどういうことなのか、あまりリアルに浮かんでこなくて。
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H.W
そりゃそうやな。見たことないものは、なかなか想像できんもんな。
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T.W
高校も土木を学べる学校に行きました。そういう環境で育ってきたので、その方向に進むのが自分の中では一番自然で。興味もあったし、進路として一番しっくりきた感じですね。
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H.W
流れに逆らわんかったわけや。
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T.W
逆らう理由がなかったんですよ、そもそも。

CHAPTER 03
ファッションも見たけど、
結局こっちでした。
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H.W
でもさ、高校生のときってほかにもいろいろ考えとったよな。
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T.W
そうそう。いろんなことに興味あって、ほかの道もちょっとは考えたんですよ。ファッションにも興味があって、専門学校を見に行ったこともありました。
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H.W
それは知らんかった。
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T.W
服って面白そうだなと思って。デザインとか、コーディネートとか、自分で考えて形にしていく感じが楽しそうだなと。それで実際に見に行ってみたんですけど、自分には少し違うなと思いました。
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H.W
合わんかったんか。
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T.W
服の世界って、自分が思っていたよりずっと難しくて。デザインの感覚とか、流行を読む力とか、自分にそこまであるのかなって考えたんです。それに、自分が服の仕事をしている姿が、どうしてもイメージできなかったんですよね。
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H.W
働く姿が浮かぶかどうかって、大事やもんな。
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T.W
そうですね。自分が働いている姿を想像できる仕事じゃないと、続けるのは難しいなと思って。それで結局、こっちの道に戻ってきました。
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H.W
戻ってきたわけや(笑)。
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T.W
あと、自分で気づいたことなんですけど、僕、結構飽き性なんですよ。同じ単調な作業を続けるのが苦手で、ずっと同じことをしていると集中力が切れてしまう。その点、土木は景色がどんどん変わるし、毎回つくるものも違う。それは自分に合っているなと思いました。
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H.W
うちの仕事は、いろんなことをやらないかんもんね。重機のオペレーターだけをずっとやるわけでもないし、型枠もやれば、石も並べる。ダンプにも乗る。
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T.W
飽きる暇がないですね。
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H.W
それでも飽きる現場があるとしたら、同じことばっかりやっとるからやと思うわ。うちの会社はいろんなことをやらせてもらえるから、僕もたぶん飽きとらん。
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T.W
それで27年続いてるって、すごいよね。
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H.W
飽きるところまで、まだやったことがないからな(笑)。

CHAPTER 04
同じ服を着て働く、
違和感。
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T.W
実際に入ってみて、最初はかなり違和感がありました。
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H.W
違和感?
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T.W
同じ服着て、同じ職場で働いてるっていう。家のお父さんと、仕事のお父さんって、自分の中では別ものだったのが、急に同じ場所に立つことになって。最初の頃は、恥ずかしさみたいなものもあって、現場でどう接していいか少し分からなかったんです。
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H.W
(笑)
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T.W
「お父さん」って呼んでいいのかとか、敬語使った方がいいのかとか、そんなことまで考えていました。
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H.W
そんなん考えとったんか。
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T.W
考えてた、考えてた。でも、慣れてきたら逆にすごく楽で。ほかの方の現場に入っているときは、本当に仕事相手として接するので、お願いするにも気を使います。「これ頼んでいいのかな」「迷惑じゃないかな」って、自分の意見を言えないこともあって。
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H.W
それはほかのメンバー相手やとあるよな。
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T.W
お父さんと一緒の現場のときは、何でもすぐ聞けるんですよ。「これどう?」「あれどうする?」って、ためらいがない。お願いもしやすいし、任せておけば何とかなるっていう安心感もあります。
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H.W
気を使わずに何でも言えるのは、まあ親子やからな。
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T.W
仕事相手としての最初の印象、お父さんはどうだったの?
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H.W
早く怪我せんように、仕事を覚えてほしい。それだけやったね。
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T.W
シンプルすぎ(笑)。
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H.W
最初は何も分からんし、こっちもどう教えたらいいか手探りやし。とにかく無事に覚えていってくれればええと思っとった。親子だからといって、特別扱いはほとんどしないよ。早く覚えてほしいし、一人前になってほしい。それはほかのメンバーと同じ。特別扱いしたら、ほかの子に対しても示しがつかんから。
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T.W
そこはちゃんと厳しいよね。
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H.W
ただ、自分の経験がある範囲では「ここはこうしたらええよ」って、いつも伝えるようにしとる。それはほかの作業員には言わんこともあるかもしれんけど、Tにはちゃんと伝えたいと思っとる。
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T.W
仕事のコツは、本当によく聞きます。前の現場で「ここどうしてた?」「お父さんやったらどうやる?」って。
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H.W
父親のしとったとこは、ほかの人より深く知っとるからね。同じ現場で、同じやり方を見とるから、聞かれれば具体的に答えられる。
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T.W
それが一番大きいですね。親子で同じ会社にいるメリットって。

CHAPTER 05
親子で
やり切った現場が、
形として残る。
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T.W
そういえば、親子でやってよかったなって思うエピソードがあって。
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H.W
ああ、あれね。
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T.W
圃場整備の現場ですね。田んぼを拡張するような工事で、僕が監督として入って、お父さんが作業員として入って。ほかにも人はいたんですけど、メインで動いていたのは二人で。一つの現場をまるごと一緒にやり切った経験がありましたね。
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H.W
あれは記憶に残っとるな。
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T.W
「親子で一緒にこれ作ったな」っていう感覚が残っています。完成したときに、自分たちが関わったものが、形として地面に残ってるじゃないですか。これは、ほかではなかなか経験できないことだと思います。普通の親子って、仕事を一緒にやる機会がそもそもないので。
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H.W
形になって残るからこそ、達成感があるんよ。あとで車で通ったときに「ここは息子と二人でやったとこやな」って思える。監督と作業員で立場は違うけど、現場としては一緒に作り上げたからな。
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T.W
あと、お父さんって、現場監督の経験もあるんですよ、実は。
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H.W
多少はね。昔、少しやっとった時期があるから。だからTにも、現場の段取りとか「こういうときはこういう写真を撮らなあかんよ」とか、監督側の仕事についてもアドバイスできる。
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T.W
そこがほかの作業員さんとは違うところで、すごく頼りになるんです。作業員目線と監督目線、両方で見てくれている。普通、作業員さんに監督の仕事の相談ってあまりしないんですけど、お父さんには相談できます。
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H.W
早く資格を取って、もっと大きい現場を任されるようになってほしいとは思っとるね。
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T.W
1級土木施工管理技士ね。
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H.W
そうそう、1級。あれを取れば、1億円を超えるような仕事も任せてもらえるようになるんよ。そうなると、また見える景色が変わる。早く取って、そういう仕事の管理をやってもらえるといいなと。
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T.W
ハードル高いって。
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H.W
高くないよ、お前ならできるって。勉強さえすれば。
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T.W
その「勉強さえ」が一番難しいんですよ(笑)。でも、頑張らないとなとは思っています。
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H.W
5年後にはな。
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T.W
プレッシャーかけないでよ(笑)。

CHAPTER 06
仕事を通して、
親子の関係も変化した。
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T.W
心配したことっていうと、お父さんが現場で倒れたときですね。
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H.W
ああ、あったな。
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T.W
あれは本当にびっくりしました。夏場でとにかく暑い日で、しかも僕の目の前で、立ちくらみで倒れたんです。突然、崩れるみたいに。
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H.W
座っとって、急に立ったんやな。暑さもあって、ふらっと来てしまった。
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T.W
自分の親が目の前で倒れる経験って、そうそうないじゃないですか。あれ以来、僕の中でちょっとスイッチが入っちゃって。
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H.W
(笑)
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T.W
「水分取れよ」「休めよ」「休憩しろよ」って、常に僕が言うようになりました。現場で見かけたら、声をかける。
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H.W
立場が逆転したな(笑)。昔は逆やったのに、今はTに言われとる。
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T.W
年齢的にもそうやし、体が資本の仕事だからこそ、やっぱり心配で。お父さんが現場に立てなくなったら一大事だから。
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H.W
それで言うと、僕もTのことは心配しとるんよ。
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T.W
そうなん?仕事のこと?
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H.W
仕事の面では、そこまで心配しとらん。ほかの先輩に聞きながらちゃんとやっとるし、人との接し方もええし。周りからも悪い話は聞かんもんで、その辺は安心しとる。
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T.W
おお、ありがとう(笑)。
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H.W
ただ、体のことは気になる。Tは責任感が強いんかもしれんけど。腰を痛めていても、結構無理してやり切ろうとするんよ。普通なら「少し休ませてください」と言うところでも、最後までやろうとする。
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T.W
自覚あります。
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H.W
それは現場としてはありがたいんやけど、親としては「休めよ」と思っとる。怪我が悪化したら、長く現場に立てんようになる。短い期間だけ無理して、長く働けなくなるのが一番もったいない。
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T.W
そう言われると、確かに。
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H.W
怪我だけはせんように。それだけやね。
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T.W
お父さんも体は大事にしてよ。お互い様だから。
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H.W
(笑)

CHAPTER 07
仕事中のお父さんは、
人が変わる。
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T.W
そうやってお互いに心配し合えるのって、家でのお父さんを知っているからこそだと思うんです。家でのお父さんって、すごく普通なんですよ。
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H.W
普通って何や(笑)。
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T.W
野球を10歳のときから教えてくれて、僕は中3まで7年くらいやってました。土日にキャッチボールしたり、試合見に来てくれたり。今でも、家で一緒にゲームをしたり、ラーメンを食べに行ったり。友達を家に連れてきても、その友達と普通に楽しそうに話していて。
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H.W
家族のことが大事やからな。家でも明るく、笑って話せる関係でいたいと思っとる。
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T.W
そうそう。休憩中とか、作業していないときは家と一緒なんです。普通に冗談も言うし。でも、いざ作業が始まると、雰囲気が変わるんですよ。表情も違うし、話し方も違う。真剣さが全然違うというか。「あ、仕事しとるな、この人」って毎回思います。
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H.W
そりゃ、仕事しとるからな(笑)。
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T.W
切り替わりがすごい。そういう姿を見ているから、現場でのアドバイスもちゃんと入ってくるんだと思います。もちろんほかの先輩の話もちゃんと聞きますけど、親に言われる言葉には、また違う説得力があります。
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H.W
そう言ってもらえると、嬉しいね。でも成長は感じとるよ、ちゃんと。
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T.W
本当?それ、初めて言われたかも。
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H.W
監督の作業はもうできとる。たとえば、僕が使えんような測量機械を、Tは普通に使いこなしとる。最近の機械は便利になっとるけど、それを使いこなすには勉強がいるんよ。それを見ると「ああ、成長したな」って思う。人との接し方や話し方も、最初の頃とは全然違うよ。
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T.W
自分では全然気づかないから、そう言ってもらえると、自分もちゃんと成長できてるんかなって思える。ありがと。
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H.W
全部を任せきれるところまでは、まだいかんけど(笑)、育ってきとるなとは思っとる。一生懸命やっとるのは間違いない。5年後には1級を取って、もっと大きい仕事を任されとってほしいね。
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T.W
ハードル設定がちょうどいいわ(笑)。あんまり褒めすぎないけど、見るところは見てくれてる。
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H.W
それまでは、とにかく怪我だけせんように。
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T.W
それはお互い様よ。これから同じ現場になったときは、無茶を言ったり、頼ったりする場面も増えていくと思います。だからこそ、お父さんも体は大事にしてね。
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H.W
おう。